睡眠時無呼吸症候群画像

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が止まっている状態が何度も出現する疾患です。寝ている間は、昼間の活動時よりも相対的に少ない呼吸で大丈夫ですが、それでも常に呼吸を行い、二酸化炭素を排出するとともに、新鮮な空気(酸素)を体内に取り込む必要があります。睡眠時無呼吸症候群になると、この呼吸が妨げられるため、十分な睡眠効果を得ることが出来ません。そのため、昼間に眠気が襲ってきたり、熟睡考えられずに仕事や家事などの能率が低下するなど、日常生活に支障を来たすようになります。

特に、車を運転している最中に睡眠時無呼吸症候群による強烈な眠気が起こり、交通事故を起こす事例が社会問題となっています。日常的に運転されるときに睡魔を経験された方は、早めに医療機関を受診し、睡眠時無呼吸症候群を患っていないか検査を受けるようお勧めいたします。

睡眠時無呼吸症候群の主な原因

  • 肥満によって首の周囲に脂肪が溜まっている
  • 鼻中隔が湾曲しているため、鼻からの呼吸の流れが滞っている
  • 舌が大きい
  • 顎が小さい
  • 咽頭扁桃が肥大している
  • 舌根が沈下しやすい
  • 脳血管障害や虚血性心疾患などによる呼吸中枢の障害

睡眠時無呼吸症候群の主な治療法

CPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法) マウスピース 外科的手術

CPAP療法

CPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法)は、睡眠中に専用のマスクを鼻に装着し、一定の圧力をかけて空気を気道に送り込む治療法です。これにより、気道の閉塞状態が改善し、無呼吸を減らすことが出来ます。中等度から重度の睡眠時無呼吸症候群まで幅広い症例で効果を上げられますので、欧米や日本で広く普及しています。患者さんの多くは、この治療を行なった日からイビキをかかなくなり、「朝までスッキリと寝られた」、「昼間の眠気が解消した」と満足されています。

マウスピース

症状が比較的軽めの場合は、歯科医院で製作するマウスピースを用いることがあります。歯牙の上部にマウスピースを装着することにより、下顎が上顎よりも前の方に動きますので、上気道が広がるようになり、睡眠時無呼吸症候群の症状が抑えられるのです。マウスピースを付けて寝るだけの手軽な方法なのですが、全ての症例に対して効果が見られるわけではありません。重症化した方には十分な効果が期待しにくいこともあります。詳しくは当院までご相談ください。

外科的手術

アデノイドや扁桃肥大などによって睡眠時無呼吸症候群が起こっている場合は、気道の閉塞を改善するための外科的手術が必要になることもあります。小児の方などで手術が有効なケースが多いと言われているので、患者さんの症状を見極めたうえで検討します。