感染症は、細菌やウイルス、真菌、寄生虫などの病原体が体内に入り込むことにより、発熱や咳嗽、下痢などの症状を引き起こす反応(病気)の総称です。病原体が侵入しても、体の抵抗力が整っているときは細菌などが増殖できず、症状は出現しません。しかし、体の免疫機能が弱っていたり、ストレスが溜まったりしているときは病原体に負けてしまい、発熱や咳嗽などの症状が現われます。悪化すると命に関わることも少なくないので、出来るだけ早い段階で医療機関を受診し、必要な治療を受けることが大切です。

感染症の主な症状

  • 発熱が続いている
  • 鼻水・鼻づまりが見られる
  • 咳が止まらない
  • 悪寒がする
  • 関節に痛みがある
  • 身体がだるい
  • 頭が痛い
  • 下痢や腹痛が続いている
  • 目の結膜が充血している
  • 嘔吐を繰り返す
  • 皮膚に発疹が出現した
など

主な感染症

風邪症候群 インフルエンザ 風疹 麻疹 水痘 流行性耳下腺炎 肺結核 肺炎球菌感染症 など

風邪症候群

風邪症候群は、鼻や喉に急性炎症が生じる感染症です。主にウイルスが粘膜から侵入して炎症を起こすため、喉の痛みやせき、痰、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、発熱などの症状を招きます。通常は数日で治るのですが、風邪をこじらせてしまうと、それ以上の期間にわたって鼻づまりや咳などの症状が続いてしまいます。なかなか治らないような場合は、別の深刻な病気が隠れている可能性があるので、お早めに医療機関を受診するようにして下さい。

風邪症候群の治療では、症状を和らげる薬を上手に使いながら、自身の治癒力で治るのを待ちます。ウイルス感染に引き続いて起こりやすい細菌による二次感染を予防する目的で抗菌薬を処方することもあります。

インフルエンザ

インフルエンザは、インフルエンザウイルスによる急性呼吸器感染症です。このウイルスに感染すると1~3日程度の潜伏期間を経て発症し、38℃以上の高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、寒気などの全身症状が現れます。喉の痛みや鼻水、せきなどの症状も見られます。お子様では痙攣や中耳炎、稀には急性脳症を併発することもありますし、高齢者や糖尿病などの基礎疾患をもつ方では肺炎などで治療が困難になることもあります。インフルエンザを予防する有効な手段の一つにワクチン接種があります。

肺結核

肺結核は、結核菌が咽頭などから肺内に侵入し、増殖することによって発症する感染症です。初期症状は風邪に似ていますが、2週間以上にわたって咳や痰、微熱が続きます。なお、結核は栄養状態が悪かった昭和20年当時は全国的に流行し、昭和25年までは日本の死亡原因の第1位を占めていました。しかし、良い治療法が開発されて以来、患者数は一時期を除き、減少を続けています。もっとも、決して過去の病というわけではなく、現在も年間2万人以上の新たな患者が生まれ、年間2,000人以上の命が奪われています。専門的な治療が必要なので、咳症状などが続くようならば、早めに専門の医療機関を受診しましょう。

肺炎球菌感染症

肺炎球菌という細菌が引き起こす病気の総称です。代表的な疾患は肺炎ですが、この他にも慢性呼吸器感染症や中耳炎、副鼻腔炎、敗血症、髄膜炎などの原因ともなります。肺炎球菌を保有している方の咳などに含まれており、この細菌が気管支を通じて肺に入り込むことによって感染が広がっていくのです。

本来、人には病原細菌から身体を守る防御機能が備わっているのですが、病気やストレスなどによって免疫力が落ちているときには、肺に入り込んだ原因菌が悪さをしてしまうのです。実際、高齢者の一般的な肺炎で最も多いのは、肺炎球菌が原因となったタイプです。