生活習慣病画像

生活習慣病には、糖尿病や高血圧、脂質異常症(高脂血症)、高尿酸血症(痛風)などがあり、いずれも運動不足、過食、そして肥満といった生活習慣の不摂生が主な原因となる慢性疾患です。
日本では、食生活の欧米化や生活スタイルの変化により、生活習慣病が増加の一途を辿っています。
生活習慣病は、一つ一つは軽症でも、いくつもの疾患が重なることが少なくありません。そして、重なることによって、各症状がひどくなったり、動脈硬化を進行させて脳卒中や心筋梗塞などの重大な疾患に結び付いたりする危険性も高まるのです。
そういった事態を招かないように、たとえ自覚症状が無くても、早めに生活習慣を改善するための対策を講じましょう。
基本的には、どの病気であっても、生活習慣の改善、つまり食事療法と運動療法が中心になります。必要と判断された場合には、薬物療法も併用します。

このような方に受診をお勧めします

  • 健康診断で血糖や脂質、血圧などの異常を指摘された
  • 40歳以上である
  • 定期的な運動をしていない
  • 20歳の頃よりも体重が10㎏以上増えた
  • タバコを吸う
  • お酒を飲み過ぎることがある
  • ストレスが溜まっている
  • 睡眠不足の傾向にある
  • 夜遅くに食べてしまう
  • 濃い味付けを好む
  • 脂っこい料理が好きだ
  • インスタント食品を良く食べる

早めの対策が重要です

日本では、食生活の欧米化や生活様式の変化により、生活習慣病を患っている方が増加の一途をたどっています。初期の段階のみならず、病状がある程度進行しても自覚症状があまり出現しないため、必要な治療を怠っている方も少なくないようです。しかし、放置していると、脳卒中や心筋梗塞などの重大疾患を突然発症しかねません。健康診断などで血糖値や脂質異常などを指摘された方は、早めに生活習慣を改善するための対策をとるようにしましょう。

主な生活習慣病

高血圧 糖尿病 高尿酸血症(痛風) 脂質異常症 など

高血圧

高血圧は、慢性的に血圧が正常な範囲から逸脱してしまい、高い状態が続く病気です。強い圧力によって血管の壁がダメージを受け続けるため、血管壁が厚くなったり、硬くなったりして、狭心症や心筋梗塞、脳卒中、腎臓病などのリスクが高まります。高血圧と診断される数値は、医療機関内で計測する場合と、家庭内の場合で若干異なります。院内では、収縮期血圧(最高血圧)が140mmHg以上、拡張期血圧(最低血圧)が90mmHg以上。家庭内では同135mmHg以上、85mmHg以上です。

治療に関しては、1日当たりの塩分摂取量を6g未満にとどめるなど、食習慣を見直します。さらに適度な運動を継続的に行い、体重を適正化します。なお、医師から薬を処方された場合は、きちんと指示通り服用することが大切です。

糖尿病

通常、血液中のブドウ糖は、インスリンの働きによって細胞に取り込まれてエネルギー源になったり、あるいは脂肪やグリコーゲン(動物デンプン)という物質となって肝臓や筋肉に蓄えられたりします。
しかし、何らかの理由で血液中のブドウ糖が細胞にうまく取り込めなくなり、血液中にブドウ糖がだぶついてしまった状態――それが糖尿病です。長期にわたり血液中のブドウ糖の過剰な状態が続くと、全身の血管に様々な問題が現れ、悪くすると心筋梗塞や脳梗塞、人工透析や失明、足切断など、深刻な事態にも陥ります。また、糖尿病は自覚症状がほとんど無いため、知らないうちに進行し、合併症が現れてから初めて気づくといったケースも、しばしば見受けられます。

高尿酸血症(痛風)

高尿酸血症とは、血液中の尿酸が多くなり過ぎている状態です。尿酸は水分に溶けにくいため、血液中では尿酸塩として存在しています。尿酸が過多になると、針状の尿酸塩の結晶ができ、体のあちこちに溜まって、痛みを引き起こします。これが痛風です。
体の細胞は、毎日の新陳代謝で新しくつくり変えられています。その結果、細胞の核からプリン体という物質が生成されます。このプリン体が、尿酸の元になります。
また、プリン体はレバー類、干し椎茸、魚卵類、えび、かつお、いわしなど一部の魚介類に多く含まれています。そしてビールをはじめとするアルコール飲料には、尿酸値を上昇させる作用があります。こうした飲食物を好む人は、尿酸値が高くなりやすい傾向があります。

脂質異常症(高脂血症)

脂質異常症は、血液中の脂質(コレステロールや中性脂肪)が多過ぎる、または少な過ぎる場合に引き起こされる疾患です。以前は、高脂血症と呼ばれていましたが、脂質が低すぎる場合も問題視されるようになり、近年は脂質異常症と称されています。放置すると動脈硬化が進行し、やがては心筋梗塞や脳卒中などを引き起こす原因となります。脂質異常症は、食生活(エネルギー過多)や嗜好品(喫煙・飲酒)の摂取過多、運動不足、加齢などの要因が重なって引き起こされると考えられています。

メタボリックシンドロームにも要注意

肥満、特に内臓まわりに脂肪が溜まって、お腹がぽっこり出ている「内臓脂肪型肥満」の方は、血圧、血糖、脂質値などの異常をきたしやすく、その結果、高血圧、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)などの生活習慣病が重なりやすいことがわかっています。内臓脂肪型肥満(へその高さの腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上)があり、高血圧、高血糖、脂質異常症のうちの2つ以上が重なっている状態を「メタボリックシンドローム」と言います。
メタボリックシンドロームの患者さんでは、血圧、血糖、脂質などの値がそれほど異常でなくても、それらが重なることで動脈硬化が一層進展しやすくなり、心筋梗塞や脳血管障害などの心血管事故の危険率を高くすることが知られています。