在宅酸素療法は、専用の医療機器をご自宅で使用して酸素吸入することにより、比較的軽度な慢性呼吸困難状態を改善させる手法です。肺炎や肺がんが悪化しているときは医療機関内で対応いたしますが、病状が安定している患者さんならば、医師の判断に基づき、ご自宅など医療機関以外の場所で酸素を吸入することが出来ます。患者さんのご自宅に「酸素供給機器」を設置いたしますので、呼吸状態の改善が必要なときは24時間いつでも対応可能です。
酸素が不足すると
ご承知の方も多いと思いますが、体内に取り込まれる酸素の量が不足すると、肺や心臓をはじめとして、あらゆる臓器の働きが悪くなったり、組織が死んでしまい、最終的には命の危機が起こります。体内の臓器が働くためには、酸素やエネルギーが必要です。私たちは食べ物を酸素で燃やすことによってエネルギーを作り出し、生命活動を維持しています。酸素はエネルギーの産生、生命の維持に不可欠なのです。したがって酸素が不足すると、下記のような症状が現れてきます。
- 胃腸の働きが悪くなる
- 眠れない
- 動悸・息切れがする
- 疲れやすい
- 体がむくむ
- イライラする
在宅酸素療法で酸素不足を改善
慢性閉塞性肺疾患や肺結核、肺がんなどの慢性呼吸不全が進行すると、呼吸困難によって日常生活に大きな支障をきたすようになります。また、血液中の酸素が不足したままの状態が長引くと、肺以外の臓器に負荷がかかり、高血圧や心不全、脳卒中、狭心症、急性心筋梗塞などの合併症を引き起こす危険性が高まります。このようなリスクを減らすには、在宅酸素療法によって酸素の足りない状態を改善し、呼吸困難に伴うリスクを減らすことが大切です。
在宅酸素療法の主な流れ
- 酸素療法の必要性
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- 患者さんの問診・検査などを行って呼吸器疾患などの状態を確認し、在宅酸素療法が必要なのか否かを判断いたします
- 患者さんへの説明
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- 在宅酸素療法が可能だと判断したときは、酸素流量や吸入時間などを定め、患者さんにその旨をお伝えします
- 使用上のポイントや留意点についても説明いたします
- 患者さんだけでなく、ご家族の方に使用上の留意点を知っていただくことも大切です
- 酸素供給機器の選定
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- 患者さんの病状などを見極めて酸素供給機器を選定し、患者さんのご自宅に設置します
- 定期健診
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- 患者さまの状態を確認するため、月に1回以上は受診して頂きます(通院困難なときは往診を行います)